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124 辞任した役員の残任義務について

 
Q. 質問事項:

 

 組合の定款では、理事の定数を「6人以土8人以内」と定めており、当初総会で6人を選出していたが、今回1人の辞任者かでた。
 組合では、中央会の指導により、この辞任者については残任義務があるとの解釈をしていたが、たまたまある弁護土に相談したところ、中央会の見解と異にするため、その根拠についてご説明いただきたい。

(弁護士見解)  商法第258条第1項欠員の場合の処置(残任義務)、同法第498条

 第1項18号では補充義務が規定されており、これらの規定は、法律又は定款所定の取締役の員数の最低限を割った場合のみ適用され、法律又は定款所定の最低員数の取締役が存在している場合は、株主総会において実際上選任されている員数を欠いても適用されない。
 しかし、一方においては中小企業等協同組合法第35条第6項では、一定の範囲内(下限の1/3を超えない範囲)において補充義務を免除している。
 本来、補充義務と残任義務とは表裏一体の関係にあり、一方を免除し一方のみを課すのは妥当とはいえない。また、補充義務だけを免除し、残任義務を課す合理的な理由も考えられない。
 以上の理由から今回のケースについては、組合に補充義務もなければ、辞任者について残任義務はないものと判断される。

 

 

A. 回答内容:

 

 組合における理事の定数は、組合の規模、事業内容等に応じ組合の業務執行上必要な人数を定款で定めたものであり、常に定数を充たしておくべきものである。
 理事の実員数が定款上の定数に不足することは、そのこと自体定款違反の状態であり、この場合当該組合の理事は法に定められた定数の遵守義務規定(中協法第42条で商法第254条の2を準用)の上からも速やかに理事の欠員分を補充する手続きをとらなければならない。
 また、中協法が第35条第6項において、商法第498条第1項第18号と異なる補充義務規定を置いているゆえんは、役員に欠員が生じた場合には、組合の業務運営上、早急に補充すべきであるが、特に欠員が3分の1を越えた場合には3カ月以内という期限を限って補充義務を法文上明確に示した点にある。すなわち、同項は決して定数の3分の1を超えた欠員が出るまでの補充義務を免除したものではない。
定数の3分の1を超えた欠員が出るまでの補充期間を免除したものではない。
 したがって、設例の場合は定款で定める理事定数(6人)を1人でも欠いた場合は、直ちに該当理事者に残任義務が発生するものというべきで、罰則を伴った補充義務規定がないことを理由にこれを否定すべきものではないと考える。
 なお、定款において理事の定数に幅をもたせている場合において、下限の人員を選出すると、今回のような事態も生じやすく、「6人以上8人以内」として理事に2人の余裕をもたせた意味がなくなるので今後は定数の上限を選出するようにされたい。

 

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