私は、養子となった後に養親の実子(長女)と婚姻しました。ところが、このたび私達夫婦は離婚することになりました。当然ながら養親と離縁するつもりです。このような場合、私の氏はどうなるのでしょうか。
 養子縁組をして20年も経過しているので、今さら実父母の氏に戻ることは社会生活上不便であり、不利益でもありますので離縁の際に称していた氏を称したいのですが、できるでしょうか。


 養子は離縁によって縁組前の氏に復するのが原則です(民法816条本文)。
 あなたが婚姻した際、自己の氏を称した場合には、離縁によって縁組前の氏に復します。あなたの配偶者は、あなたの復氏にしたがって、その復氏後の氏を称することになります。
 これに対し、あなたが相手方の氏を称する婚姻をしたときは、婚姻中は離縁によって縁組前の氏に復することはできません(民法810条但書)。
 つぎに、あなた方夫婦が離婚する場合の復氏の問題ですが、あなたが婚姻した時、自己の氏を称した場合には、婚姻によって氏を改めなかったのですから、復氏の問題は生じません。あなたの配偶者は婚姻によって氏を改めたのですから婚姻前の氏に復します。
 これに対し、あなたが相手方の氏を称して婚姻したときは、離婚によって復氏をします。
 以上、いずれにしても養子のあなたが、離婚をし、なおかつ離縁する場合には、原則どうり縁組前の氏に復することになります。
 しかしながら、縁組の日から7年を経過した後に、離縁によって縁組前の氏に復した者は、離縁の日から3か月以内に戸籍の届出をすることによって、離縁の際に称していた氏を称することができます(民法816条2項)。この離縁の際の氏の継続は、一般的に縁氏続称といわれています。この規定は、昭和62年の民法改正の際に新設されました。これは縁組後相当の期間経過し、養子が養親の氏を称して社会生活を営んでいる場合には、離縁による復氏によって社会生活上不便または不利益を受けることが少なくないので、民法を改正されたのです。
 20年間も養子関係にあったのですから、あなたは離縁の際に称していた氏を称することができます。