当協同組合は、組合員30名でありますが、最近、一組合員が裁判所に自己破産の申立てをした旨代理人弁護士から通知がありました。当組合はその組合員に対し、貸付金500万円、組合費未収納分金10万の債権があり、組合員からは出資金400万円、建設積立金100万円を預かっています。そこで、当組合は、貸付金などで出資金等を相殺しても構はないでしょうか。なお、弁護士から特別預託金200万円を返還するよに申し入れがありましたが、これは特別加入金で返還する性質のものとは考えていませんが、返還しなければならないでしょうか。


組合員が自己破産の申し立てをして事業を廃止した場合には、組合から脱退する事になり、組合はその組合員に出資金や建設積立金を返還する義務があります。
 一方、組合は組合員に対し、貸付金と組合費を請求することができます。
 ところで、組合は、組合員の相互扶助の精神で出資金などの見返りがあることで組合員に貸付けをしていたものと思います。そこで、組合は、組合員との間で相殺をして貸付金などを回収することができます。
 すなわち、貸付金債権500万円と組合費10万円合計510万円を自働債権として、出資金返還債務400万円、建設積立金返還債務100万円合計500万円を受働債権として対当額で相殺する旨の意志表示をして下さい。通常これを内容証明郵便で通知しておくのがよいでしょう。相殺の意志表示をしたことが明確な証拠として残ることになります。
 相殺の結果、組合は組合員に対し、出資金と建設積立金を返還しなくてもよいことになり、組合費10万円が決済されないまま残ることになりますが、この債権を破産債権として届出て回収をはかれます。
 なお、弁護士からの返済を要求してきた特別預託金200万円については、返還する必要がないものと思われます。なぜならば、特別預託金200万円は、組合に途中加入した組合員が、原始組合員らがこれまで負担して創建した組合の諸施設を利用するため、加入金として支払われたものであって、組合の預かり金ではないからです。組合の預り金ではないことの証拠資料を弁護士に提示して、組合の主張を理解してもらって下さい。