根抵当権の特質


当社(X)は、Y銀行を主取引銀行とし、同行から金員を借入れたり、同行に手形割引をしてもらったり継続的に取引しています。ところで、Y銀行から当社所有物件に根抵当権を設定したいと言ってきたのです。根抵当権とは、どんな担保権なのか、どんな特質をもっているのでしょうか。


根抵当権は、抵当権の一種ですが抵当権には普通抵当権と根抵当権があります。普通抵当権は、特定の債権を担保する抵当権であります。例えば、平成何年何月何日付金銭消費貸借に基づく貸金債権金○○円という特定の債権を担保するものです。従って、この債権が弁済によって消滅すると普通抵当権も消滅します。
 ところが、根抵当権は、不特定の債権を担保する抵当権であります。これは担保される債権を特定のものに限定せず、増減変動する数多の債権を一括して、予め定めた一定の限度額(極限額という)まで担保するものです。例えば、X社がY銀行から、平成元年2月1日付金銭消費貸借に基づき金1,500万円の根抵当権を設定し、同年同月同日に1,000万円の借入れをし、平成2年1月末日1,000万円返済し、また、平成2年2月1日金900万円を借入れしたとすると、根抵当権は平成2年1月末日に消滅せず、新たに借入れた金900万円の債権を担保しているのです。貸付が何回繰り返して行われても同じです。