◎ 第161回臨時国会で成立した主な法律について

                           

 

  第161回通常国会は、10月12日に召集され、12月3日に閉会した。

  同国会では、70件の法律案(継続法案を含む)が提出され、32件が成立した。

同国会で成立した主な法律及びその概要は以下のとおりである。

 

〔成立した主な法律〕

no.

法律名

提出日

成立日

公布日

施行日

民法の一部を改正する法律

10月12日

11月25日

12月1日

公布日から6月以内



 

債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律

10月12日

 

11月25日

 

12月1日

 

公布日から1年以内

 



 

民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律

10月12日

 

11月19日

 

12月1日

 

平成17年4月1日

 





 

民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

10月12日



 

11月19日



 

12月1日



 

平成17年4月1日



 


 

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律

10月12日
 

11月19日
 

12月1日
 

公布日から2年6月内



 

民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律

10月12日

 

11月26日

 

12月3日

 

公布日から1年以内(一部の規定を除く) 


 

信託業法
 

10月12日
 

11月26日
 

12月3日
 

公布日から6月以内(一部の規定を除く)

 


 

貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律

11月24日
 

12月 1日
 

12月8日
 

平成16年12月28日

 




 

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律

10月12日


 

12月 1日


 

12月8日


 

平成17年4月1日


 

            
 

 

 

〔概 要〕

1.民法の一部を改正する法律(平成16年法律第147号)       

 保証契約の内容の適正化の観点から、保証人の保護を図るため、貸金等根保証契約について極度

額、元本確定期日等に関する規定を新設することその他の保証債務に関する規定の整備を行うととも

に、民法を国民に理解しやすいものとするためその表記を現代用語化する等を図るもの。

 〔参考〕「民法の一部を改正する法律」の概要(法務省HP)

附則第32条(中小企業等協同組合法の一部改正)
  中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)の一部を次のように改正する。
  第38条中「(自己契約)」を「(自己契約及び双方代理)」に改める。
  第42条及び第82条の8中「(代表権の委任)」を「(理事の代理行為の委任)」に改める。

 

2.債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律

  (平成16年法律第148号) 

 法人による動産及び債権の譲渡の円滑化を図るため、動産の譲渡の対抗要件に関する民法の特例

として、法人がする動産の譲渡につき登記による新たな対抗要件の制度を創設し、その登記手続を整

備するとともに、法人がする債務者の特定していない将来の金銭債権の譲渡等についても登記により

対抗要件を備えることができるようにする等の措置を講ずるもの。

〔参考〕「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律」の概要

(法務省HP)

 

3.民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律

  (平成16年法律第149号)

 法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法その

他の情報通信の技術を利用する方法により行うことができるようにするための共通する事項を定めるこ

とにより、当該方法による情報処理の促進を図るとともに、書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて

国民の利便性の向上を図るもの。

 

4.民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行

に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成16年法律第150号)

 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴い、特

定非営利活動促進法その他の関係法律の規定の整備等を図るもの。

第38条(中小企業等協同組合法の一部改正)
 中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)の一部を次のように改正する。
 第40条の見出し中「備付」を「備付け」に改め、同条第四項中「前3項」を「前各項」に 改め、同項を同条第五項とし、同条第3項の次に次の一項を加える。
 4 第2項の監事の意見書については、これに記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子 的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録で あつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして主務省令で定めるものをいう。) の添付をもつて、当該監事の意見書の添付に代えることができる。この場合において、理事は、 当該監事の意見書を添付したものとみなす。

 

5.裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平成16年法律第151号)   

 内外の社会経済情勢の変化に伴い、裁判外紛争解決手続が、第三者の専門的な知見を反映して紛

争の実情に即した迅速な解決を図る手続として重要なものとなっていることにかんがみ、裁判外紛争解

決手続についての基本理念及び国等の責務を定めるとともに、民間紛争解決手続の業務に関し、認証

の制度を設け、併せて時効の中断等に係る特例を定めてその利便の向上を図ること等により、紛争の

当事者がその解決を図るのにふさわしい手続の選択を容易にするもの。

 

6.民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律

  (平成16年法律第152号)

 民事関係手続の一層の迅速化及び効率化等を図るため、民事訴訟手続等における申立て等を電子

情報処理組織を用いて行うことを可能とするとともに、簡易裁判所における少額訴訟に関する債権執行

制度の創設、民事執行手続における裁判官と裁判所書記官との職務分担の合理化、不動産競売にお

ける最低売却価額の売却基準価額への変更、扶養義務等に基づく金銭債務についての間接強制制度

の創設、公示催告手続の迅速化等の措置を講ずるもの。

  〔参考〕「民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律」の概要(法務省HP)

  

7.信託業法(平成16年法律第154号)

 信託の活用に対するニーズ等へ柔軟に対応し国民経済の健全な発展に資する観点から、信託の引

受けの対象となる財産の範囲の制限を撤廃し、信託業を営む者等に関し新たな資格要件を定める等、

信託業、信託契約代理業及び信託受益権販売業を営む者に関し必要な事項を定めることにより、信託

に係る取引の多様な担い手の参入を可能としつつ、信託の委託者及び受益者の保護を図るため、信託

に関する引受けその他の取引の公正を確保するもの。

附則第25条(中小企業等協同組合法の一部改正)
 中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)の一部を次のように改正する。
 第9条の八第十一項中「信託業法(大正11年法律第65号)第3条第2項ただし書」を
「信託業法(平成16年法律第154号)第14条第2項ただし書」に改める。
  第57条第2項中「銀行」を「金融機関」に改める。
  第57条の5第1号中「、信託会社」を削る。

 

8.貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する法律(平成16年法律第158号)

 近年、貸金業を営む者により、債務者等の公的給付を貸付けの契約に基づく債権の弁済に充てるため

当該公的給付が払い込まれる預金又は貯金の口座に係る預金通帳等を保管する等の行為が行われ、

多数の公的給付の受給権者が生活に困窮している状況にかんがみ、このような行為についての処罰規

定を整備すること等により、公的給付の受給権の保護等を図るもの。

 

9.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を

  改正する法律(平成16年法律第160号)

 我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ、総合的な次世代育成支援対策を推進する等の観点

から、労働者が就業しつつ子の養育又は家族の介護を行うことを容易にするための環境を整備し、その

雇用の継続を図るため、育児休業制度及び介護休業制度の見直しを行うとともに、子の看護休暇に関す

る制度を設けるほか、雇用保険制度等において育児休業給付等の見直しを行う等の措置を講ずるもの。